2019/07/22、世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事、津川友介、東洋経済新報社
実に読み易い日本語で、内容はもちろんなのだが、この文章力にも感心した。内容ついては、 とりわけ
・意識すべきは食品・食材そのもので、成分(サプリメントなど)ではない
・オーガニック食材は(妊婦と小さい子供以外には)意味がない
の2点に驚き、認識を改めた。
〇健康に良いということで複数の信頼できる研究で報告されている食品:
・(水銀量の少ない)魚、
・野菜と果物(現物であること。サプリメントや(漉した)ジュースは不可)、
・茶色い炭水化物(全粒粉、大麦、オート麦、ライ麦、キアヌ、玄米、雑穀類、蕎麦粉)、
・オリーブオイル、
・ナッツ類(木の実(アーモンド、クルミ、カシューナッツ)と(豆の一種ではあるが)ピーナッツ)。
〇避けるべき食品:
・赤い肉(牛、豚。鶏肉は白い肉)と加工肉(ハム、ソーセージ)、
・白い炭水化物(小麦粉(パン、パスタ、ラーメン、うどん)、白米、じゃがいも)、
・バターなどの飽和脂肪酸。
表1-1, p.32に加筆。
〇水銀の量の少ない魚:
・キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ
〇水銀の量の中程度の魚:
・キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリサメ、イシイルカ
〇水銀の量が多い魚:
・クロマグロ(本マグロ)、メカジキ、キンメダイ、メバチ(メバチマグロ)、バンドウイルカ(特に多い)、コビレゴンドウ(特に多い)、ツチクジラ、エッチュウバイカイ、マッコウクジラ
表3-5、p.163
参考:次のサイトの「本書の要点」
ナッツ類とは「木の実」のことで、アーモンド、クルミ、カシューナッツなどのことを指す。実は、皆さんにもなじみが深いピーナッツは、木の実でなく豆の一種であるが、最近の研究ではピーナッツもその他の木の実と同様に健康に良いことが分かっている。木の実と比べるとピーナッツの方が安価であるので、あまりお金をかけずに健康になりたい人は、ピーナッツを積極的にとると良いだろう。p.34
白米やラーメンのように精製された炭水化物(白い炭水化物)は体重増加につながるものの、玄米や蕎麦のように精製されていない炭水化物(茶色い炭水化物)を食べても体重は増えないことが研究結果から示唆されている。p.53
なぜ果物は糖尿病のリスクを下げるのに、フルーツジュースはリスクを上げるのか疑問に思った人もいることだろう。果物を食べれば血糖値を上げる果糖が含まれるものの、同時に血糖値の上昇を抑えてくれる食物繊維もとっていることになる。一方で、フルーツジュースは果糖のみを摂取していることになるので(水溶性の食物繊維は含まれるが、不溶性の食物繊維の多くは加工過程で取り除かれてしまうと考えられている)、血糖値が上がって糖尿病のリスクが上昇するのではないかと考えられている。
では、糖分と食物繊維のサプリメントを一緒にとれば良いのかというとそうでもない。そのような研究結果はなく、多くの専門家は食物繊維はサプリメントでとるよりも食事でとった方が良いと考えている。やはり、第1章で説明したように、成分で考えるのではなく、食品まるごとで考えることが、健康的な食事をするためには重要だということだろう。健康を維持したいのであれば、果物はたくさんとり、フルーツジュースはできるだけ避けることをおすすめする。pp.80-
つまり、一般の人にとってはオーガニック食材でなくても健康という観点からは問題ないと考えられている。その一方で、唯一オーガニック食材にするメリットがある可能性があるのが、妊娠中や妊娠する可能性のある女性と小さな子どもだろう。pp.86-
トウモロコシやアボカドのように残留農薬の少ない食材は一般的な食材でよいものの、イチゴやほうれん草などは残留農薬の量が多いので、オーガニックにする、という食材による使い分けをした方が賢明だろう。pp.87-
ちなみに、この調査では(Environmental Working Groupによる残留農薬の量の測定調査?)、野菜や果物を洗ったり、皮をむいてから農薬の量を測定しているため、リンゴやモモなどの皮をむいて食べる食材でも内部には農薬が残っていることを示唆している。p.89
血圧の高い人にとっては塩分が大敵だ。「究極の食事」を摂取しながら、できるだけ塩分の摂取量は抑えるようにする必要がある。塩分の少ない食事は最初は味気なく感じるかもしれないが、味覚が慣れてきたらおいしく感じられるようになる。家庭で料理する人は、塩分を減らす代わりに、ダシを強めにしたり、レモンやシソなどの香りの強いものを合わせることで、塩気の少ない食事でもおいしく食べられるだろう。コショウやトウガラシなどの辛みの強い食材も塩気の代わりになってくれる。塩分以外の方法で舌に刺激を与えることが、苦労なく塩分制限を進める秘訣である。p.152
たんぱく質も重要である。特に、妊娠中に魚の脂を摂取することで、生まれてくる子どものぜんそくや糖尿病のリスクが下がるという報告もある。魚の種類によっては水銀が含まれるので、できるだけ水銀の少ない魚が良い。食物連鎖が上になるほど水銀は蓄積されるとされている。p.162
生ものはもちろん妊娠中は厳禁である。食中毒や寄生虫感染を起こす可能性があるためである。生魚だけでなく、火の十分入っていない肉、生卵や半熟卵、かびで発酵させたチーズなども同様の理由から妊娠中は避けるべきである。生野菜にはトキソプラズマと呼ばれる寄生虫(猫のふんが原因)がついていることがあるので、生野菜はしっかり洗って食べるか、火を通してから食べるようにしてほしい。また、トキソプラズマは食事からだけでなく、ガーデニングなどの土いじりでも感染するため、妊娠中は土に触れることもさけるべきだろう。pp.162-
体が温まる食べ物は食べた方が良くて、体を冷やす食べ物は妊娠中避けた方が良い、くらいの話は聞いたことがある人が多いのではないだろうか。これも科学的根拠のない都市伝説である。p.161
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