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新しい呼吸の教科書、森本貴義、近藤拓人、ワニ・プラス


2019/03/16、新しい呼吸の教科書、森本貴義、近藤拓人、ワニ・プラス

「酸素を大量に取り入れる呼吸・呼吸法が決定的に重要」という教えを信じていた自分にとって「酸素はヘモグロビンと結合したままでは、細胞に届きません。ヘモグロビンと酸素が「離れる」ためにどうしても必要なのが、二酸化炭素です」「大切なのは血中の酸素を効率よく、確実に全身の細胞、脳や筋肉に届けること。そのために必要なのは「過度の酸素」ではなく、「適正な量の二酸化炭素」である」という指摘は驚愕に値するものだった。


 呼吸量が多い状態が続き血液が常にアルカリ性に傾いているとき、体は「二酸化炭素不足」になっているわけですが、二酸化炭素が足りないと体内では重大な問題が起こります。酸素を効率よく細胞に運ぶことができなくなってしまうのです。
 酸素は赤血球のヘモグロビンと結びついた形で体内に存在します。「酸素飽和度」という言葉を聞いたことがあると思いますが、呼吸過多の状態にある人でも、この数値は通常9598%です。しかしこの酸素飽和度とは、酸素と結合しているヘモグロビンの割合を示すもので、「全身の細胞に酸素が行き渡っている割合」を示す指標ではありません。
酸素はヘモグロビンと結合したままでは、細胞に届きません。ヘモグロビンと酸素が「離れる」ためにどうしても必要なのが、二酸化炭素です。細胞内と血液内の二酸化炭素量が多いほど、ヘモグロビンは酸素を手放しやすくなるのです(これを「ボーア効果」と呼びます)。
大切なのは血中の酸素を効率よく、確実に全身の細胞、脳や筋肉に届けること。そのために必要なのは「過度の酸素」ではなく、「適正な量の二酸化炭素」であることを知っておいてください。
 -空気の吸いすぎが「常態化」することが良くないという意味です。
 呼吸量が増えることで、酸素を吸いすぎることは、二酸化炭素の不足につながり、それが慢性化すると、運動のパフォーマンスにも日常の健康にも重大な問題を引き起こす可能性があります。p.32-

過度に緊張している人は常に肩をすくめて首を前に突き出し固定するような姿勢になり、緊張やストレスが少ない人は横から見て頭~肩~骨盤が一直線上に位置するリラックスした姿勢になっているはずです。//姿勢改善の第一歩としてふさわしいのはストレッチや筋トレではありません。それよりも呼吸機能の改善により脳と体への酸素供給を増やして活性化し、体の緊張を解くことが有効です。p.39

「正しい呼吸」は取り戻せます。まずは日常的に「口呼吸をやめ、鼻呼吸をする」意識を持ってください。それだけでも体調はずいぶん変わってくるはずです。p.125

 鼻腔からは一酸化窒素が分泌されていることがわかっています。一酸化窒素が分泌されることで血管拡張作用、体温上昇、リラクゼーション効果などが期待できるのです。一酸化窒素は、鼻呼吸により空気が鼻腔を通ることで肺と血管に流れますが、口呼吸では肺までじゅうぶんに到達しません。p.56

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